land of silence =『沈黙の世界』

ポールはかつて大手英会話教室で講師として働いていました。
その頃のポールは、いつもストレスで一杯で、英会話を教えることに苦痛を感じているようでした。

いつも言っていたのは、

「どうしてみんな何も話そうとしないんだ」。
「生徒が英語を話さなくちゃ意味がない」。
「言葉は話さなくちゃ絶対に上達しないことにどうして気付いてくれないんだ」。

生徒に英語を話すようにさせるにはどうしたらいいのかと、毎日悩んでばかりいました。

私は、何年間も英会話教室に通ってきたので、同じように悩む先生たちを何人も見てきました。
来日当初は元気一杯だったネイティブの先生たちが、生徒の「沈黙」に悩み、みるみるうちに元気がなくなっていきます。
先生たちは、かつて経験したことのないland of silence=『沈黙の世界』を前に途方に暮れてしまうのです。

何とか会話を続けようとしても

先生:How are you?

生徒:I’m fine ,thank you.

先生:What’s new?

生徒:Nothing special.

先生:What did you do yesterday?

生徒:Watching TV.

・・・・

というように、先生が一方的に質問して、生徒が可能な限り短く答えるという形式に陥ります。

これは、ポールに言わせると、「会話」ではなく「尋問」です。
それによって先生たちの脳裏には、

1.生徒の方から先生には全く質問をしない⇒先生の話には興味がない。
2.短い答えでのみ答える⇒話をしたくない。

という考えが浮かぶので、「何故、英会話を習いに来ているの????」と大いなる疑問を抱いてしまうわけです。
会話をしなければ、会話は絶対に上達しません。

先生たちは、質問を待っています。
How are you? と聞かれたら、I’m fine, thank you.などと答えます。そして必ず続けてAnd you?です。
先生たちは、このAnd you?を待っているのです。

これが会話です。

一方的なのは会話とはいえません。それは、どの言語でも同じ。

もうずっと前に雑誌で読んだ笑い話があります。
初めての海外旅行を前に必死で英語の本を読んでトラベル会話の勉強をしていたというある女性が、混み合う免税店で、店員さんに声をかけようとして出た言葉が、

Excuse me.May I help you?

1人で練習していたため、客と店員の会話練習をそのまま言ってしまったんだとか。

決してこうならないように気をつけましょう。

コメント

  1. また国民性とか言うと『俺は違うぜ!』などと言われそうですが、日本人ってそんな感じではないですか?やっぱり。
    英語に対して・外国の方々に対して・・と言うよりも、初対面(あまり、まだ親しくない人)に対しては同じでしょうね・・。
    まあ、お金を払ってせっかく英語を習っているのにもったいない・・と言えばもったいない。質問(会話)することに慣れていないのかも。
    私も以前N●VAに行ってましたが、一言も話せない人や額に大粒の汗をかきながらなんとか単語を並べる人、教科書のように質問に答えるだけの人・・・がほとんど?だったかも?
    一般の日本人社会の中にはまだまだ英語は浸透していないので、その中での恥ずかしさもあるんじゃないのかなぁ・・・。
    ポールとラルズで待ち合わせして、英語で挨拶(←こう書くと変だな・・挨拶ね)をすると、やはり周りの人は振り向きますね・・かなり高い確率で。
    前にも家族で公園を散歩しているときに英語の話題になって、前の日本人男女2人は私たちが日本語で話をしているときには普通だったのに、何かは忘れたけど英語の一文を言うと・・・
    『!!!!!』
    ぐらいの勢いで振り向かれましたw。その顔は”驚かせるなよ・・日本人じゃないか・・・”というような雰囲気でしたw。なにか嫌な思い出があったのか?
    May I help you?と声をかけられた店員さん。なんと応えたのでしょうか・・。

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