先日、手首を負傷したヤンキース松井の発言に、アメリカ中が「???」、というニュースが日本で放送されていました。
「怪我をしてしまい、チームに迷惑をかけて申し訳ない」という松井のコメント。
日本人なら完全に聞き流すこの言い回しですが、アメリカの人たちにとってはかなり聞きなれないコメントだったらしく、
「怪我をして辛い思いをしているのは松井なのに、どうして謝るの?」
とか、
「大変なときに、チームを気遣う松井は偉い!」、
「いかに松井がチームを愛しているかを示す発言だ!」
という、日本では考えられない過剰反応のオンパレード。
ポールに「松井のこのコメントどう思う?」と聞いてみると、”strange.”
と怪訝な顔をしながら即答。
実は、ポールは、日本人のこの言い回しにはすっかり慣れています。
あまり深い謝罪の意味はなく、ただの習慣、あるいはリップサービスだということも。
それでも、たとえば生徒さんから、手術や交通事故という一大事でレッスンを休むことを伝える電話があったとき、「すみません」という謝罪の言葉を聞くと、「○○は、『すみません』って言ったけど『すみません』じゃない!レッスンに来れないのは当たり前なんだから、謝る必要なんてないのに」というようなことを言うことが今でもよくあります。
こんなふうに、「自分が悪くないのに謝る」発言を『おかしい』とその真意を理解できない彼だけに、ポールは自分が悪いと思わない限り、Sorryという言葉は絶対に使いません。
付き合ってからこれまでかれこれ10年近くになりますが、彼の口からこの言葉はほとんど聞いたことがありません。
「ごめん、ごめん」とすぐに軽く言う私と比較すると、『Sorry』の重さは、ポール対私=100対1くらいの違いがあります。
そんなわけで、何かがあったとき、ポールが真剣な表情で、『Sorry』と謝ると、私は心に「グッ」とくるものがあって、すべて許す気になります。
一方、私が、『Sorry』と謝っても、「EriのSorryは本当のSorryじゃない!」といつも逆に叱られます。。。
コメント
>たとえば生徒さんから、手術や交通事故という一大事でレッスンを休むことを伝える電話があったとき・・・・
でもこのような場合、ポールの教室のように1:1や少人数だったら、生徒が行かない=空き時間になるということで、『すみませんが・・・』が適当だと思うけどなぁ。前金制じゃないしね。
日本人が言う『すみません』『申し訳ございません』のほとんどは、自分の非を認める謝罪ではなく無用なトラブルを避ける手段や、相手への気遣いじゃないかな?
例えば、バスが遅れて待ち合わせ時間に間に合わなかったら・・・
『すみません、バスが遅れちゃって。』
で良いと思う。本当に遅れたくなければ数本前に乗ればいい。
これは、バスを遅らせたのが本人じゃないから非を認める謝罪ではなくって、待たせてしまった相手への気遣いでは?そして、これはリップサービスでもないと思う。
バスが遅れた=仕方がない(自分は悪くない)=気遣いの言葉無用
は日本社会では通用しないですよね。
そうなんですよ。
日本人が日常生活で頻繁に使う「すみません」や「申し訳ない」にぴったりな英語がないから、ニュアンスまでは彼らには通じないのですよ。
直訳するとみんな「I’m sorry」なもんだから、そう受け止めて、「どうして悪くないのに誤るの?」なわけなんです。
確かに、相手への気遣いをあらわしているひとつのいい文化だと思うんだけど、レッスンを一大事で欠席するときも「そんな大変なときに僕のことなんて気遣わなくていいよ!」って気持ちの方が先にくるようで、最初はかなりびっくりしたみたいです。
私が2週間の新婚旅行のあと、会社で、「長い間休んで、すみませんでした」なんてみんなに謝っていたことを知ったら、きっと仰天すると思います。