階段事件

ポールと２人で、１階の英会話教室でパソコンの設定をしていたときのこと。

突然、階段の方で何やらドスンと大きな音がした。

一瞬２人で顔を見合わせたけど、「なんだろうね、今の」、「屋根の雪でも落ちたんじゃない？」と言っただけで、そのままパソコンにしばし没頭。

無事設定を終えて、２階のリビングに戻ろうとしたその時、バブーが階段の曲がり角のところで、全身をプルプル震わせながら、目をウルウルさせて座ってた。

「バブー、こんなところで何やってんの」

バブーは、まだ階段を上り下りできないはずなのに、どうやってここに？

驚く私たち。

すがるような目で見つめるバブー。

でも、すぐに分かった。

さっきの音は、バブーが階段を転げ落ちた音だったんだ。

私たちがリビングにいないことに気がついたバブーが、勇気を振り絞って階段を下りてこようとしたらしい。

フローリングですべる我が家の急な狭い階段。

バブーにはまだ無理。

でも、ひとりぼっちが寂しくて、私たちの声がするところに行きたくて仕方がなくて、きっとこんな風に階段をじっと見つめながら、さんざん迷ったあげく、一か八かで挑戦してみたんだ。

でも、案の定うまくいかなくて、そのままゴロゴロ何段も転げ落ちて、やっと曲がり角のところで止まって、震える手足でようやく体を支えて私たちが来るのを待ってたんだ。

怖くて声も出なかったんだ。

ビビりバブーなのに。。。

どうしようもないほどの小心者なのに。。。

怪我をしてなくて本当に良かった。

バブーのくせに、なんて可愛いいんだ。

『早く階段を下りれるようになりたいな』

こんなバブーを見る度、可愛くて可愛くて、癒されるどころか毎日トロけそうになってしまう。

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