久しぶり

仕事を終えて、家に帰る途中、なんとなく空を見上げた。

ビルの谷間に見えた三日月がなんだかとっても可愛かった。

重いコートに身を包み、雪で滑る足元を気にしながら歩く冬は、空を見上げることが少なくなる。

こうして空を見ながら歩くことができるようになったのは、春が近づいてきたから。

「久しぶり」。

下ばかり見て歩いて、夜空を見上げることなんてほどんどなかったから、冬の間はその存在を忘れてた。

ずっとそこにいてくれてたはずなのにね。

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