ヒースローの悪夢

今回の旅で、一番大変だったのが、帰りの、ヒースロー空港での乗り継ぎ。

世界でもっとも忙しい空港のひとつといわれるヒースロー空港。

繁忙期には、1日10万人の乗客があるほか、30秒毎に旅客機の離着陸が行われているという。

広すぎる空港。

到着ターミナルから乗り継ぎターミナルまでバスで移動。

しかもターミナルの手荷物検査場には長蛇の列。

聞いてはいたけど、これほどとは!

これほど長蛇の列ができているのは、夏休みで、スタッフがさばききれないほど乗客が多いのと、テロ対策の保安強化で、セキュリティ・チェックがかなり厳しく行われているためで、ひとりひとりの検査に相当な時間がかかっているから。

まず、液体類はそれぞれが100ミリリットルを超えない容器に入れる必要がある。

この制限は液体、ジェル、ペースト状のものすべてに適用され、 シャンプー、クリーム、ヘアジェル、ヘアスプレー、日焼け止めローション、チューブ入り歯磨き粉から、液体とはいえないようなマスカラや口紅などの化粧品まで対象になる。

しかも、液体の各容器はすべて、縦20cm×横20cm以内、または容量1リットル以内のジッパー付きもしくは開閉可能な、透明なビニール袋に入れる必要がある。

そして、この袋を機内持込み手荷物から取り出し、手荷物とは別にX線検査が必要となる。

少しでもおかしなものがあったら、中身を出して試験紙で成分をチェック。

さらに、手荷物はひとり一個と厳しく決められている。

貴重品を入れた小さめのバッグと、その他の必要最低限のものを入れたバッグを2つに分けて検査を受けることは許されない。

とにかく一個にまとめないと、検査を通してもらえない。

だから、トラブルを避けるため、手荷物は極力少なくするにこしたことはない。

余計なものは一切持たない。

とはいえ、ヒースロー空港は、ただでさえ手荷物が出てこないロストバゲッジが多いことで有名。

とくに乗り換えのときは、人間は間に合ったけど、荷物の積み込みが間に合わなかったというのはヒースローに限らずよくある話。

そんなわけで、荷物がなくなる、あるいは遅れてしまう可能性を前提に、最低限必要なものは、機内に持ち込むよう勧められる。

もう、一体、何をどう絞り込んで機内に持ち込んだらいいの?!状態。

かつ、靴も脱ぎ、ベルトも外し。。。

中には、このルールをきちんと知らない人も多くて、ありえないような手荷物いっぱいで検査場に現れて、スタッフに注意され、慌てて検査場横で、荷物を詰め替えている人、多数。

検査場は大混乱。

疲れきったスタッフは、言葉も通じず、まったく要領を得ない乗客たちに、イライラしっぱなしで、やる気なし。

遅いわけよ。。。

時間がかかるわけよ。。。

私のかなり前にいた中国人の若者グループ。

みんな大荷物で、当然のことながら、検査員に止められて大騒ぎしていたけど、なかには、手になぜか炊飯器を持っている人まで。

列に並んで、待つこと一時間。

やっとの思いで検査場に近づき、あと数人で自分の番、というところで、列の横から、疲れきった感じのアラブ系のひとりの女性が私のところに近づいてきた。

そして、自分のチケットを私に見せながら、

「時間がなくて乗り継ぎに間に合わないから、もし構わなかったら、私をここで列に入れてほしい」

と憂いをたっぷり含んだ目で訴えてきた。

瞬時にして私の頭の中には、さまざまな思いが。

こんなとき、あなたならどうしますか?状態。

「一人くらい入れてあげたところで、大したことない。困っているんだもん、入れてあげるべき」、

「でも、私はいいけど、後ろにずっと並んでいる人たちが、待ちくたびれてイライラしてるし、見ていて怒るかも」。

「もしかしたら、この人がよく使ってる、列を並ばずに済む手なのかも」。

そして、私は・・・、

何か答えようと迷ったあげく、

「英語がわからないフリ」を決め込んで無視することにした。

彼女の言ったことは、一言一句はっきりとわかったけど、肝っ玉の小さい私は、自己保身のため、そうすることが最善だと瞬間的に判断してしまった。

罪悪感で、胸がざわめきながら。。。

彼女は、そんな私の態度を見て、諦めたように、後ろのアメリカ人とおぼしき男性に、同様の依頼をした。

その男性は、はっきりと断ったうえで、

「ここにいる人たちは、みんなもう1時間以上並んでいるんですよ。あなたも列にちゃんと並ぶべきだ」

と付け加えた。

結局、その女性は、その後も、同様の言葉を繰り返して列に入れてくれるように頼み続け、私の後ろ5人目くらいで、根負けした乗客の一人が、彼女を列に入れた。

そのことが、どうにも気になっていて、帰国してすぐ、ポールに、私はどういう態度を取るべきだったか聞いてみたところ、

「言葉がわからないフリをして無視するのがベスト」だと即答してくれた。

もし、頼まれたのがポールだったら、「はっきりと断ったうえで、空港のスタッフに頼むように言う」、という答えだった。

確かにその通り。

目の前に、検査場の空港スタッフがいた。

当然、スタッフに事情を伝えて、本当に時間がないのならば、優先的に入れてもらうようにするべきだろう。

多分、そうしなかったのは、すでに断られたからだと察するけれど、入れてあげるにしても、断るにしても、どっちにしても嫌な気分にさせられる出来事だった。

空港についてのエピソードといえば、同じくヒースロー空港で、もう10年以上前、ポールは、ある男性に、「片方の手を折ってしまったので、荷物を持ってほしい」と頼まれたことがあるのだそう。

そのときのポールの答えは、はっきりと『No!あんたの片手で持てばいい』。

なぜなら、「人に荷物を持つよう頼むのは、他人にドラッグを運ばせるときに使う方法」だからなのだとか。

空港では決して、頼まれても、他人のものを預かったり、持ってあげたり、触れたりしないこと。

これが鉄則だとポールに言われた。

空港で何か頼まれても、安請け合いしないこと。

いつもより警戒心を持つこと。

いろんな人がいて、いろんなことが起きる巨大空港、ヒースロー。

テロ対策は万全にと政府はいうけど、これ以上、空港で人は雇えない・・・というのが、現状らしい。

あんなに長蛇の列ができていたにも関わらず、検査用のゲートで開いていたのはひとつだけ。

焦る乗り継ぎ客と、面倒くさそうに検査をし、ゆっくりとスタンプを押す空港スタッフの姿が対照的。。。

海外で寿命を縮めないためにも、ヒースローでの乗り継ぎは極力避けるか、最低3時間は確保した方がよさそう。

これから旅行を控えている方は、ご注意を!

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“ヒースローの悪夢” への10件の返信

  1. 待ってましたぁ、たびろぐ{ルンルン}
    eriponの写真&エッセイスト並みの旅描写、楽しみにしてました。
    憧れのドイツ、ロマンチック街道・・・・
    なぬ、そんなに寒いわけ?
    ヨーロッパのどこか・・・猛暑だとニュースでみたような気がしていたけれど。
    空港のチェックの厳しさは閉口ですね。
    通過するだけで、持ち物から身体からALLチェック可能な装置を
    開発して欲しいもんだ{びっくり} 
    {食事}食はいかがでしたか?
    美味しい新発見などあったかしら?
    続きのupが楽しみだわん
    何のプランも無く、家族持ちの同僚の都合を優先したため
    お盆に一足早く夏休み入り、
    何もしない贅沢を味わっている、びーなすでした{グズン}

  2. 手荷物の件、いろいろと面倒ですよね。
    私もっぱら日本へ帰るときはヒースロー利用しますが、そんなに並んだこと一度もないんで、ちょっとびっくりです。今の時期夏休みなんで、家族連れが多かったり、そういう事情でしょうね。
    お疲れさまでした。
    ちなみに私も、一時間並んだ列に入ろうとしてきた人がいたら「私たちは一時間並んでいるんだから、どんな事情であれ、あなたも並ぶべき」って言うと思う。無視して正解でしたね♪
    乗り継ぎだけで、ロンドンには立ち寄らなかったんですか??もし次回ロンドンに来ることあったら、ぜひ声かけてください。ぜひぜひお会いしたいですぅ~~!

  3. すごい良い勉強になりました!さすがポール!でも、何時間も並んでいるところに、入れてといわれても困りますよね。
    必要に迫られていたら、スタッフが助けてくれるから、ポールやeriponの判断が正しいのだと思います。
    海外、ヒースローみたいな巨大空港にはいろんな方がいますものね。
    イギリスもアメリカも、テロ対策で本当に空港の出入り、荷物チェックが厳しいですね。私、来年、ひとりでいって大丈夫かしら?
    身軽で行かないとだめですね!

  4. みみもスタッフに頼むように言いますかねー。
    でもそこでスタッフが通しそうですよね。
    みみは国内線でしかヒースローは使ったことが
    ないですがそんなに並んでるんですね!!!
    ホントに空港ってあぶないですよね。
    イギリスでも荷物運んでくれるかって聞かれる
    んですね。てっきり東南アジアだけかと思ってました。
    ブリジットジョーンズみたいに!!!
    写真とっても素敵です♪現実逃避の旅って
    たまには行かないとやってられないですよね!!

  5. 私も先月、日本からオランダに帰ってきたとき日本から炊飯器を持ち込みましたよ~(笑)
    オランダでも炊飯器が売っていますが値段が2倍だし
    やっぱりご飯類は日本のメーカーのものが一番です。。
    鍋でも炊けますが炊飯器の機能にはかなわないし。。
    私はヒースロー使った事が無いのですがうちのヤンは
    ”ヒースローだけは2度と使いたくない!”と、言っています(笑)

  6. >びーなすさん
    待っててくれましたぁ?!旅ブログ。
    行っちゃいましたよ、ドイツ・オーストリア。
    そりゃ、もう豪華絢爛。『ベル薔薇』世代の憧れの宮殿を堪能。
    食も満喫。
    私は、例によって、わけもわからず「おいしいおいしい」と食べているクチですが、びーなすさんなら、ワインもおいしいし、食材も豊富できっと楽しいに違いありません。
    それにしても、何もしない夏休みって、それはそれで贅沢ですね。

  7. >melanieさん
    私もヒースローは何度か利用していますが、こんなのは初めてでした。
    時期的なものと、乗り継ぎ、というのが大きな原因だったと思います。
    出発と到着で利用する分には問題ないかと・・・、今までは思っていました。
    でもポールに聞いたところ、ヒースロー空港を持っているのがスペインの会社で、英国政府が、サービスの悪さで訴えるというニュースが今出ているらしいですね。
    最近、評判、本当に悪すぎますもん。
    次回、イギリスに行くことがあったら・・・、絶対ありますが、そのときは絶対に連絡させていただきますので覚えていてくださいね!

  8. >yukarinさん
    ポールは、ヒースロー空港に、列車が遅れて搭乗時刻ギリギリに到着したことがあって、スタッフに先に通してくれるよう頼んだところ、『NO!』と断られたと経験談を語っていました。
    でも、結局、それは、ロシアの『アエロ・フロート』で、飛行機の出発時刻が3時間遅れて、なんの問題もなかったのだとか。。。
    スタッフもそのことをわかっていたのかも。
    来年、イギリスへ一人旅なのですね。楽しみですね~。
    私は、今年はイギリス見送り。ポール一人で帰国予定です。

  9. >みみさん
    私も『ブリジット・ジョーンズ』を見て、こういう風に利用されることがあるんだ!って驚きましたが、東南アジアだけじゃないみたいです。
    よく濡れ衣で海外で捕まっている話聞きますもんね。
    お人よしは、海外ではご法度ってことですよね。
    現実逃避は必要です。
    でも、これで、エネルギー・フル・チャージのはずが、会社での仕事のリハビリの方が必要だと気づかされている今日この頃です。

  10. >Rietjeさん
    炊飯器持ち込んだんですね~。
    そうか、よくあることだったんだ。
    壊れ物だから、スーツケースにって、わけにもいかないですもんね。
    それにしてもあの中国人グループがあんなに大量の荷物をまとめることができたのか、いまだに気になっている私です。
    オランダ帰国して、ほっとしているところですか?
    自分のいるべき場所って、変わるものなんですね。
    ポールもそうであってくれればいいけど・・・・。

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