映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』

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先日、イギリス人映画監督のケン・ローチ作品にはまっていることをブログに書いたところ、2016年の作品、「わたしは、ダニエル・ブレイク」が面白いからぜひ観て、と複数の人が薦めてくれた。

早速鑑賞。

今のリアルなイギリスの姿がかなりショックだった。

これが夫の母国・イギリスの現実なのかと思うと、悲しいというより、なんともいえない怒りに似た感情で、涙なしには観ることができなかった。

主人公のダニエル・ブレイクは、妻に先立たれた、孤独で真面目で不器用な59歳の元・大工。

心臓の病気で職を失い、医者から「仕事は無理」とドクター・ストップがかかっているにも関わらず、福祉事務所は「就労可能」と判断、支援を拒否。

映画冒頭の、就労可否を判断する職員のダニエルへの質問はこうだ。

「帽子をかぶるぐらい腕は上げられますか?」

「電話のボタンは押せますか?」

「簡単な事柄を人に伝えられないことは?」

「急に我慢ができなくなって大便を漏らしたことは?」

これらが問題なければ、「就労可能、手当は中止」。

さらには複雑な手続きも追い打ちをかける。

国の支援を受けるには、手書きではなくオンラインの申請が必要。

今まで使ったことのないパソコンを使い、周囲の若者に助けてもらって何度もトライ。

福祉事務所の職員は、パソコンを使えない人への手助けさえもルール違反で禁止。

あの手この手を使って、援助しないように仕向けて行く福祉事務所。

本当に助けを必要としている人たちが、「ルールはルール」と排除され、助けを受けることができない現実。

心臓に問題を抱えている主人公ダニエルの姿が、私が先立ち、やむなくイギリスに帰国して職探しをするポールの姿と重なって、想像しただけで妙にリアルで辛かった。

こんな現実が待ち受けているのでは、とてもじゃないけどポールを残して私は死ねない。

かつては、「ゆりかごから墓場まで」を謳歌した福祉国家イギリス。

ポール自身、充実したイギリスの福祉政策を誇りに思い、以前はよく私に自慢していたものだ。

だがしかし、経済が弱体化してくると、福祉・社会保障が真っ先に攻撃の対象となる。

ポールがイギリスを離れていた十数年の間に、夫の母国はすっかり変わってしまったようだ。

私よりポールの方がきっとショックを受けていたに違いない。

観て辛かったけれど、日本でも物凄く評価が良く、よその国のことではなく、自分事として捉えている人が多いのが救い。

守るべきは「人間の尊厳」、「寛容さ」。

学ぶことが非常に多い映画だった。

お盆休みの映画鑑賞にぜひお薦めです。

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