友人Aさんの話で、考えさせられる出来事があった。
Aさんは一人暮らしで、同じ市内に母親が一人で暮らしている。
その母親は、一緒に暮らしていた愛犬のコーギーを最近亡くしたばかり。
愛犬を亡くし、ひとりぼっちになって落ち込んでいることを心配したAさんが思いついたのは、仔犬のサプライズ・プレゼント。
Aさんが、ある日たまたま行ったペットショップで可愛い仔犬にひとめぼれ。
絆を感じて迎え入れることを決め、将来的には自分が飼うつもりで、愛犬を亡くして辛い今は母親に当面の間預かってもらうのが「慰め」にもなりベストだと考え、契約をして引き取った。
そして、ドキドキしながら迎えた、母親と仔犬のご対面の日。
きっとものすごく喜んでもらえるだろうと思って仔犬を連れて行った時のAさんの母親の反応は意外なものだった。
「もう犬を飼うつもりは全くない。この犬種も好きじゃない。飼えないからペットショップに返してきなさい」。
すぐに母親になついてじゃれつく仔犬に、「来てもダメだよ~、うちでは飼えないからね~」、とシッシと追い払う仕草。
意外過ぎるまさかの反応に、これまで受けたことのないほどのショックを受けたAさん。
すぐにタクシーを呼んで仔犬と一緒に母親の家を出たものの、Aさんのマンションはペット不可。
連れて帰ることもできずパニックになりながら近くのペットホテルに向かい、一日預かってもらって翌日を迎え、ペットショップに泣く泣く返しに行ったのだそうだ。
この仔を飼うと決めたのは自分、という罪悪感に苛まれ、命の責任を痛いほどに感じて、なんとか落ち着きを取り戻した今はその仔をまた引き取り、自分と一緒に新生活を始められるように、「ペット可」のマンションに引っ越す行動を始めたのだという。
サプライズ!、じゃなくて意思疎通ができていれば最悪の事態を回避できた話で、今回の件、両方の気持ちが私なりにわかる。
愛犬を亡くして辛い母親に仔犬をプレゼントしたいと思う気持ちも、愛犬の最期が辛すぎてもう犬を飼いたくないという気持ち、あるいは、ずっと長い間、高齢の愛犬の介護をしてきたからこそ、一人になって自分自身の生活を満喫して、ゆっくりしたい母親の気持ちも。
犬種にこだわりがあるかもしれないし、犬全般ではなく、自分の飼っていた愛犬だけが特別に可愛かったのかもしれない。
足腰が弱くなってきたら毎日のお散歩だって大変だから年齢的にもう無理って思うかもしれないし、犬がいたから外出や旅行も我慢していたに違いない。
トリミング代だ、ワクチン代だのなんだのって、犬を飼うにはお金も相当かかるから、収入が限られているなら負担も大きい。
自分自身を考えてもそうだ。
たとえば、バブーがこの先、高齢になって一生を終えてしまった時。
私はきっと、これまでの人生で経験したことのない喪失感に襲われると思う。
でも、「サプライズ!」、と言って、たとえばバブーとまったく違う犬種の子犬をプレゼントされたら、素直に喜べるだろうか・・・。
バブーと同じように可愛がることができるだろうか・・・。
お散歩仲間にも、連れているわんこが、「忘年会の景品だったの~」と言われて驚いたことがある。
たまたま景品で「クジ」を当てたその人が犬好きで、愛情たっぷりに育てているから、むしろ微笑ましいものの、そうじゃなかったら・・・。
Facebookのシェアなどを見ていると、仔犬をプレゼントされて嬉しくて泣き崩れる子供たちや、愛犬を亡くした後に仔犬をプレゼントされて嬉しさで涙を流すパパやママの動画が溢れてる。
犬好きの大多数はそうかもしれないけれど、今回のようなケースもある。
だから私は相当な犬好きを自認しているけれど、やっぱり犬のプレゼントには反対。
そもそも「生き物」のプレゼントは止めた方がいいというスタンス。
「生き物」だからこそ、もしプレゼントした相手が「いらない」と言ったらどうするか。
それは「想定の範囲内」として、プレゼントする自分が責任を取る覚悟を決めておくべき。
ドラマでもよくあるけれど、「婚約指輪」なら大枚をはたいて買ったとしても、相手に断られたなら、悔しいけれど川に流せばいい。
でも、「生き物」の「命」は、プレゼントした相手が「いらない」と言ったからと言って、川に流せない。
「生き物」は、プレゼントするものではなく、「飼う人」が決心して、育てる覚悟を決めて迎え入れるもの。
そのことを改めて。
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コメント
こんにちは。
本当に、それぞれの思いよーくわかりますね。
私は歳をとってから改めてとなると、子犬は避けるかもしれません。
アクティブに遊んであげられないかもしれませんから。
そして今は、トリミング代のかからない二匹のツルッとした犬(笑)を飼っています。
>チョビマロ母さん
その通りですよね。私も仔犬は避けてしまいそうです。
トリミング代のかからないツルっとした犬、っていうのも重要ポイントですよね。
犬を飼うには、愛情プラス、気力、体力、経済力と、いろいろ必要ですよね。