ロンドンのハイドパークの一角に、毎週日曜日になると人が集まる場所がある。
「スピーカーズ・コーナー」と呼ばれるその一角は、議会政治発祥の地・イギリスならではの、誰もが自由に演説できる場所。
王室批判と政府の転覆に関することでない限り、誰もが自由に発言し、「言論の自由」を堪能することができる議論好きにはたまらない場所。
かつて、マルクスやレーニンもこの場所で演説していたという。
自分で脚立のようなものを持参して、熱弁をふるい、聴衆に語りかける。
夫のポールは議論好き。
30年くらい前にロンドンに住んでいた時は、毎週日曜日になると通い詰めていたのだそう。
そんなわけで、懐かしのスピーカーズ・コーナーへ。
1人が演説して聴衆がそれを聞いているわけはなく、何人も、この時は5、6人が演説していて、それぞれに小さなグループができていた。
あるグループは「女性は男性と同じ仕事をするべきではない」という議論、あるグループは「人種差別」問題についての議論、またあるグループは宗教をめぐる議論。
私が遠巻きにその様子を見ていた時に、話しかけてきた初老のイギリス人男性は、「地球は丸くない、本当は平らなんだ」と熱弁をふるってくれた。
夫婦で一緒に行動する予定だったけれど、議論に参加して、あまりに楽しそうなポールの様子を見てしまい、パブで昼食を取った後は、ポールにはまたスピーカーズ・コーナーに戻ってもらい、私はオックスフォードストリートで買い物へ。
そして夕方。
そろそろ飽きて、時間を持て余している頃だろうと思いポールを迎えに行ったところ、昼間より人が増えてる~。
日本ならポールを探すのは簡単だけど、イギリスだと難しい。
携帯で連絡を取ろうにも、議論に夢中できっと気づかない。
諦めてホテルで集合。
結局、議論を満喫して、夕方暗くなってからホテルに帰ってきたポール。
朝から晩まで見知らぬ人たちと議論を続けられるのが凄い。
しかも寒空の下で立ったまま。
ポールはもともと相当な議論好きだけれど、日本は「和」を尊ぶ人が多い分、なかなか受け入れてもらえない。
日本人は国民性として議論が苦手だとよく言われる。
反対意見を言うことは、「和を乱すこと」、「空気を読めない厄介者になること」につながりかねないから、意見が違っても言えないというのがその理由だと思う。
次々と発覚している国内の様々な業界のスキャンダルの根本原因はきっと多少なりともここにある。
本来、「反対意見=敵」ではない。
「反対意見」があることよって、さらにいい結果につながることもある。
変化が早く、「正解」がわからない今の時代だからこそ、議論というプロセスは、より良い結果を導き出すために必要なこと。
まともに議論できる人が増えない限り、社会は変わらない。
自戒を込めて。
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コメント
私は世界が狭いからか会ったことは有りませんが、
そういう議論に免疫のある人は
存在はしているのですよね?
>チョビマロ母さん
議論に免疫のある人、議論を楽しんでる人は、イギリスにはたくさん存在していますよ。
日本ではなかなかお会いできないですね。