余寒見舞い


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同じ大学の大先輩から余寒見舞いが届いた。

フランス文学の元教授で、パリジャンみたいなオシャレなファッションを好み、集まれば話題の中心になって、大いに飲み、食べ、豪快に語る、そんな人だった。

周囲の人たちが老化による病気話、不健康話で盛り上がっている中、グラッパという強いお酒を飲みながら、「人間ドックなんて必要ない。あれは医者の金儲けのためのもの。自分の体調は自分が一番よくわかってる。お酒と食事を美味しく味わって楽しめるなら健康な証拠」、と笑い飛ばしていたのを今でもはっきりと覚えている。

そんな先輩が脳出血で倒れ緊急入院したのは2011年のこと。

倒れる直前までの数年間、中心となって準備をしてきた大きなイベントの初日、冒頭の挨拶をした直後に倒れたと聞いた。

幸い一命はとりとめたものの、左半身の自由が利かなくなったこの8年間は、「長く、苦しかった」と余寒見舞いにつづられていた。

入院したベッドで最初に思ったことは、「元はと言えば不摂生が招いた天罰で、つまりは自業自得にほかならないが、そのことを後悔するのはやめよう」ということだったという。

妙な言い方をすれば、「その不摂生によって、自分は人生を大いに楽しんできたわけだから」と。

いかにも先輩らしい。

とはいえ、これまで自由に動かすことができた体を動かすことができなくなり、爪切りや食事が思うようにできなくなったことは非常につらく、この間、悲嘆にくれることも多かったけれど、こういう悩みは自分に限ったことではないと考えられるようになり、最近になってようやく明るい気持ちになってきたと書かれていた。

最後は「これまでの苦悩の8年間は無駄ではなかったと思う」と締めくくられていた。

今年50歳を迎える今、このような事を「自分事」として捉えるようになってきた。

今までは健康だったけれど、この先、自分に何が起きるかわからない。

だけど、先輩が言うように、自分が選んで歩いてきた人生を「嘆いて後悔すること」だけは絶対にしたくないと思う。

さて、明日は夫とともに、年に一度の人間ドック。

読んでいただけたら、


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コメント

  1. おはようございます。
    私もわざわざ見つけたくない派です。
    自分で気づくはず、きっと、と、年一の簡単な健康診断のみ。
    人間ドック、素晴らしいです。
    最後の写真に、先輩への大いなるリスペクトを感じました(笑)

  2. 30年前にフランス語を教えていただいたO先生でしょうか?フランス語は全く残っていませんが、授業中に見せていただいたフランス映画、日本シリーズの巨人ー近鉄戦で盛り上がったこと昨日のように覚えています。私のように先生の授業でまだ見ぬフランスやヨーロッパに憧れた学生も多かったのでは。少しでも回復されて若者や社会と関われますようにお祈りしています。

  3. >チョビマロ母さん
    人間ドックだけは毎年受けてます。
    「心臓機能の血液検査」とか、「脳ドック」などのオプション検査も最近はとっても気になっていて、健康に自信のある私はともかく、夫に受けてもらいたいなと思う検査項目が増えてきました。
    大先輩へのリスペクト、感じていただけて良かったです!

  4. >しぎょうさん
    そうです。そのO先生です。カールのかかったヘアスタイルに、小粋でシックな帽子をかぶって、葉巻が似合う、あの先生です。
    同じ大学の同じ語科の出身だったので、長い間とてもよくしていただいていて、他の卒業生と一緒にご自宅にお邪魔したこともあるんです。
    しぎょうさん、O先生のフランス語の授業受けていたのですね。
    お元気になられたら、是非一緒に飲みたいですね。

  5. やはりそうなんですね。
    友達も先生に留年の危機を救っていただきました。
    いまも覚えている教養部時代の楽しい思い出です。

  6. >しぎょうさん
    情が深く、人間味のある、「粋」な方ですよね。
    留年の危機を救ったというのも納得。
    毎年送られてくる文面から察するに、順調に回復しているようで、それが何よりうれしいです。

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