最初の上司

元上司が亡くなりました。79歳でした。

思えば、私が部下として仕事をしていた当時は50代半ば、優しくて裏表がなく、とても人間味のある温かい上司でした。

その上司の下で働いていた20代後半の時、長期休暇をもらって仲良しの友人と海外旅行をしたことがあります。

帰国して空港から夜行電車を乗り継ぎ、自宅に戻ったのは午前3時。

今ならそんな無謀なことは絶対にしませんが、当時は若かったので、その日のうちに、帰宅してから数時間後には会社に行って仕事をするギリギリの日程を組んでいたのです。

帰宅後、旅行で疲れ切っていた私は、寝なきゃいいのに寝てしまいました。

3時間だけでも睡眠を取ることができればと思い、ちゃんと目覚ましもセットして。

だがしかし、時差ボケと疲労で、まんまと寝坊。

上司の電話で目が覚めました。

入社以来はじめての遅刻です。完全なる遅刻。しかも新人が、遊びの後に。まさかのまさかです。

慌てふためく私に上司は、「よかった、よかった!声を聞いて安心した。無事に帰ってきて自宅にいるならいいんだ。もしかして海外旅行の途中で何かあったんじゃないかと思って心配で電話しただけだから。仕事の方は大丈夫。慌てないで、準備ができたら出社してくれればいいから。慌てなくていいからな」、と言って電話を切ったのです。

遅刻を怒るわけでもなく、心から安堵した声で、本当に温かい父親のような優しさで。

他にはこんなこともありました。

とにかくお酒が好きで陽気な上司でしたから、飲み会の帰りにご自宅に招いてくれたことがありました。

「こんな時間に行ったら奥様に迷惑ですよ」と言っても、「うちは大丈夫。いいから、いいから」、と。

事前に連絡したわけでもなく、22時を回っていたにも関わらず、奥様がささっと手早くお酒とおつまみを用意して部下を笑顔でもてなしてくれた時には本当に感動しました。

この夫にして、この妻あり、なのだと。

元上司はその数年後には定年を迎え、私も転勤で元職場を離れ、お会いすることはなくなってしまいましたが、以来20年以上ずっと毎年欠かさず年賀状をやり取りして、お互いの近況報告をしていました。

今だからこそわかりますが、学生から社会人になるとき、あるいは転職した新しい会社で仕事を始めるとき、最初の上司、指導者というのは本当に大切です。

その人のその後の社会人人生、会社人生を決めるのは、仕事の内容そのものより、最初の上司だと個人的には思っています。

私が今も仕事を続けているのは、生意気な私を温かいまなざしで見守りながら、のびのびと仕事をさせてくれた元上司のおかげなのです。

その感謝の気持ちをブログには書けるのに、元上司本人に伝える機会がなかったこと、その機会を自分から作らなかったことが悔やまれてなりません。

今年届いた年賀状には、見慣れた元上司の文字で「元気でやってるかな?こちらは年老いた!!」と書かれていました。

もう二度と会うこともできないのだと思うと悲しくて、訃報を知った夜、年賀状を見て泣きました。

 

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