病棟でのこと

経験者から、「きっと同じ病気を持つ仲間ができるよ」と言われていた今回の入院ですが、コロナ禍ゆえ状況はまったく違っていました。

入院期間が短かかったこともありますが、4人部屋の各自のベッドのカーテンは閉め切られ、患者同士の会話も憚られたので、仲間ができるどころか、結局、同室の方の顔もわからないまま。

私が入院していた病棟は、乳腺・甲状腺疾患と消化器疾患の患者が対象で、同室の私以外の3人は乳がんではなく全員消化器疾患のようでした。

私の前のベッドの方は、ナースから大腸の手術や人工肛門の説明を受けていて、たんたんと会話のやり取りが続いていましたが、人工肛門になると言われた時のショックや今後の不安を想像すると胸が痛み、ほんの少しだけでも同室の患者同士でお話ができたら気が紛れたかもしれないと思いながら過ごしていました。

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ちょうどそんなとき、廊下で若い女性の声がしました。

「わかる、わかる、っていうけど、同じ病気でもないのにわかるわけないじゃん!」。

隣を歩いている人に怒りの感情をぶつけている感じの言い方でした。

人間だれしも「わかる、わかる」と共感されるととても嬉しいものです。

不安な時はなおさら。

でも、病気のような深刻な話のときに、安易に「わかる、わかる」と言われると、逆に反発の気持ちが芽生えることもありますよね。

相手を思いやり、寄り添いたい気持ちから出た言葉だとわかっていても。。。

恐らくそんなシチュエーションだったのではないかと想像します。

自分が経験したことのないつらい状況にいる人が身近にいる時に、その人に対してどんな言葉をかければいいのかわからないという経験は私自身も何度もあります。

共感を表す言葉を使っても共感は伝わらないし、安易に励ますのも憚られる。

「わかる、わかる」という言葉をかけて女性を不快にさせてしまった相手は、親だったのか、夫だったのか、友人だったのか。あるいはドクターやナースだったのかも。

ほとんど会話のない静かな病棟で聞こえてきたフレーズが今もはっきりと耳に残っています。

 

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コメント

  1. 生まれてから、七五三、結婚式、初詣(神社)、クリスマス、結婚式(キリスト)、お盆、葬儀(お寺)と、ある意味抽象的な心の拠り所が無い多くの日本人の苦手とするところでしょうか。

    • ご指摘、ごもっとも!そういうことなのかもしれませんね。
      私も苦手です。

  2. 難しい問題ですね。どん底の時、話を聞いてくれる人がいるという事は、患者さんにとって心の支えになっているはずです。共感出来ないけど、何も言わず、そっと手を握って寄り添うだけで心は通じていると思います。

    • コロナで今はできませんが、こういう時、欧米なら何も言わずに「ハグ」が一番だと思います。
      とはいえ、たとえ「ハグ」ができなくても、かける言葉が見つからなくても、相手が自分を気にかけてくれていることは伝わるものだと思います。

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