東大前刺傷事件に思うこと

大学入学試験が行われていたまさにその日のショッキングなニュース。

事件に巻き込まれた被害者の方たちは本当に気の毒としかいいようがなく・・・。

受験予定だった学生さんたちの大きなトラウマにならないことを祈るしかありません。

報道によると、9回も放火を試みていたと思われることから「大量殺人計画」があったのではという恐ろしい話が出てきていますが、このニュース、いろいろ考えさせられてしまいます。

まずは、事件が起きた場所をよく知っていること。

事件現場となった東京文京区弥生、東大農学部の隣は私が大学時代を過ごした女子学生会館があった場所。

懐かしさから2年前に母と姉を伴って訪れたばかりで、あの辺のことがよくわかります。

なので、土地勘がまったくない地域の事件とは違って、「あの場所!」という思いでニュースを見てしまいます。

そして、事件を起こした17歳の少年。

今年高校受験を控えている15歳の甥っ子と歳が近いので、「あのくらいの歳の子!」という思いでニュースを見てしまいます。

そして、その動機。

「医者になるために東大を目指し勉強していたが、1年前から成績が振るわなくなり自信をなくした。医者になれないなら、人を殺して罪悪感を背負って切腹しようと考えた」。

東大医学部を目指すくらいの賢い学生さんなのに、「医者になれないなら人を殺して切腹」って、なんでこんな思考回路になってしまうのか。

「すごく頭が良い」と周囲からも言われていたようですが、頭の良さ、賢さってなんなんでしょう。

東大に入れなくたって、医者になれなくたって、幸せになれる道はいくらでもあるのに。

私は子供がいないのでよくわかりませんが、最近は「キャリア教育」の重要性が叫ばれているようですね。

「児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育」(文部科学省のHPより)。

素晴らしいと思います。

私が子供の頃にこういう教育があったら、早いうちに自分に最適なキャリアを見つけることができて、人生は違ったものになっていたかもしれません。

でもですね、あんまり急がなくてもいいんじゃないかな、と、君にはコレだよ、って決めつけて絞り込まなくてもいいんじゃないかと思います。

なんだかうまく言えませんが、子供たちには、目指すべき明確なキャリアよりも、どんな人生を選ぶか、どんな職業を選ぶか、「選択肢はたくさんあるんだよ」、「人生の軌道修正はいつになっても、いくらでもできるんだよ」ってことを教えてあげた方がいいと思うんです。

人間の本当の賢さっていうのは、成績がどれだけいいかじゃなくて、困難を乗り越える強さ、失敗して挫折しても回復する力を身につけること。

そしてなにより、その力を使って、自分に与えられた生涯を精一杯生き抜くこと。

人の命を助けるのが使命の医者を目指す学生が、人の命を大量に奪ったうえで自殺しようとするなんて。

週末、夫と一緒にオーストラリアのドラマ「ステートレス -彷徨の行方-」を観ました。

オーストラリアの移民拘留センターを舞台にしたドラマシリーズですが、最後のシーンで「世界には戦争や迫害によって住む場所を失った7千万人の人々が存在し、その半分は子供だとされている」というテロップが流れました。

世界には住む場所さえない子供たちがたくさんいるんです。

こういうドラマこそ、子供たちに学校教育で見せて欲しいと思う秀逸なドラマでした。

オトナにできることは、子供たちの視野、世界を可能な限り広げてあげることなんじゃないかと思い、じゃあどうやって・・・と、考えさせられています。

 

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コメント

  1. 成績が良い イコール 医学部。 誰が言い出したのでしょうか? 
    成績の他に人間性も問われる職業です。
    ストレートに入学、卒業が優秀という風潮も疑問です。
    気軽に休学出来て自分を磨ける環境を作ってくれないと。
    企業の努力も必須です。

    • おっしゃる通り。
      東大医学部は、医者になりたいからという理由ではなく、日本の最高頭脳、偏差値トップだからという理由で攻略するために受験する生徒も増えているそうで、人間性を見るために面談を取り入れたという記事を数年前に読みました。
      勉強だけ・・・の怖さを思い知らされる事件ですよね。

  2. おはようございます。
    バブーママさん、東大農学部には、ハチと上野教授の銅像があるところですか?
    私も、一度行ったことがあります。
    写真を撮ってきました。
    あの辺に住んでいたんですね。

    最近の無差別事件、都内で起こっていて、いつ自分の巻き込まれるかと思っています。
    これ以上、コロナで人々の心が変な方向にいかないことを祈ります。

    • そうです。その、弥生キャンパスにある東大農学部です。
      近くに根津神社があって、とても環境のいいところでした。
      コロナで人々の心がおかしくなっていますよね。
      私も最近、いつなんどき自分も巻き込まれるんじゃないかと、地下鉄に乗る時になんとなく恐怖を感じるようになってきました。

  3. この事件複雑ですよね。精神学的観点からいくと、もしかしたら統合失調症の可能性もあります。この頃から発症するケースが増えるんです。でも、親や学校でのプレッシャーもかなりあったのでしょうね。この子のSOSをキャッチ出来なかったのかな。でも、一番可哀想なのは被害者ですよね。絶対トラウマになるはず。
    いい学校出ても、社会人になってプライドばかり高くて、仕事馬鹿にして辞めていく新人を何人も見てきました。最近ではMR研修中に辞める新人も多いとか。下手すると親が会社に怒鳴り込んできますからね(実話です、パワハラ疑いで裁判沙汰になりました)。子離れしろよ!って感じですがね。そんなのを見てると、困難を乗り越える力、人生を自分で切り拓く力を持つ若者が少なくなったように思います。自分の人生を決めるのは学歴じゃないと、悩める若者に教えてあげたいです。

    • 事件を起こした17歳の学生が事件現場で自分の高校名や偏差値を叫んでいたことを記事で読みました。
      これはかなり大きな心の問題を抱えているのは明らか。
      親が会社に怒鳴り込んでくるのも聞いたことがあります。
      学校も企業も、昔なら「うちの子が迷惑かけて申し訳ない」だったことが、今は「うちの子になんてことしてくれたんだ」になることもありますからね。
      「自分の人生を決めるのは学歴じゃない」、本当におっしゃる通りです。
      悩める若者に教えてあげたい。

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