リアル過ぎて震える映画「plan75」

映画「plan75」を観ました。

「超高齢化社会に対応すべく75歳以上が自らの生死を選択できる制度<プラン75>が施行される近未来を舞台に、その制度に大きく翻弄される人々の姿を描いた」映画。

去年、カンヌ映画祭で話題になった時に調べていましたし、公開時に映画館に観に行った母からあらすじを聞いていたので内容はわかっていましたが、設定も何もかもがリアル過ぎて衝撃的。

母が観に行ったと聞いた時、「どうだった?面白かった?」と無邪気に聞く私に、「面白い」という表現はこの映画には相応しくないと断った上で、「将来、きっとこうなるんじゃないかな、こういう仕組みが必要になるんじゃないかな、とリアルに考えさせられた」と感想を語っていました。

観てみてその意味がよくわかりました。

これは重い・・・、重すぎて震えます。

近未来の作り話とはいえ、50代前半の私でも20年後の自分を想像してそう思うのですから、70代後半で「plan75」対象枠の母はリアルに感じたことでしょう。

倍賞千恵子さんの抑えた演技が素晴らしく、贅沢とは無縁の孤独な日常生活や皺だらけの顔、細く折れそうな体がリアル過ぎて、自分が高齢者になったら一体どうなるんだろうって、誰もが想像してしまうはず。

国の制度に頼らず、周囲の世話にもならずに、自分の力で真面目に働いて細々と生きて行こうとしても、75歳以上という年齢だけでばっさりカット。

高齢者が幸せに心穏やかに暮らせない国は良くない・・・、そんなことを途中から思い始めて胸が苦しくなってきました。

多くの人に観てもらいたい映画。

お薦めです。

 

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コメント

  1. 75歳で生死を選ぶプラン…怖いけど、アリかもと考えてしまいます。男性の場合、75歳位が健康寿命だとか。そこからは坂道を転がるように年老いていくとか。私の両親を見ていても、老いていくのを見るのが辛かったから。人生100年時代とか言ってるけど、そうなると我々まだ折り返したばかり。75歳位まで生きられれば幸せかと…

    • 坂道を転がるように年老いて行く・・・。
      50代前半の今でも40代前半の頃とは気力・体力が明らかに違いますので、容易に想像がつきます。
      私も100年はないな~。健康でいられる限り生きることができればそれ以上は望みません。

  2. 生前、母が90代を目前にして「何時まで生きたら良いのかしらね」とつぶやいたので思わず「今、居なくなったら寂しいから、もう少し頑張って」と答えたことを思い出します。
    真面目で責任感が強く、人に迷惑をかけることが大嫌いで、最後まで自分の身の回りは自分でやりつつ、介護保険制度を利用すること無く逝ってしまいました。
    日本は高齢者に優しくない国ですよね。でも、生きていてくれるだけで良いと思うのです。存在すること自体がうれしくて元気をもらえるのだから胸を張って生きていて欲しい。
    でも、その一方で自分のことになると、高齢になり身体が思うに任せず好きなことが出来なくなったり、認知機能が低下して他人の介護を受けたり、家族に迷惑をかけるようなことが起きたらいっそ、と思うことはあります。そのボーダーラインが75歳~80歳かなと。
    でも、そんな悲しいことにならないよう、せっせと筋肉と脳を鍛えている毎日です。

    • 映画「plan75」の倍賞千恵子さん演じる主人公は、まさにいちご大福さんのお母様のような方でした。
      真面目で責任感が強く、自分のことは自分でするどころか、周囲の高齢者にも気配り、目配り。
      この映画の凄いところは、介護する側、される側、どの世代でも当事者、自分事として考えさせられるところだと思いました。
      健康寿命を延ばすべく頑張るのみですね。

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