井上荒野さんの「生皮 あるセクシャルハラスメントの光景」を読みました。
カルチャーセンターの小説講座の人気講師が性暴力で告発される話。
当事者の生々しい感情と性被害が醸成される背景が赤裸々に描かれています。

GWに読まねばと思っていた本。
重い、非常に重い内容でした。
一番印象に残っているのは、「ある事件が起きる前に、加害につながる社会の空気は醸成されている」のだということ。
被害者は生皮を剥がれ、一生傷が癒えることはないほど傷ついているのに、加害者はそのことにまったく気づきもせず、その周りの人たちもそれを容認すべきとする空気。
その対比が生々しく描かれています。
「権力者」、「カリスマ」、「有力者」・・・。
その言葉に惑わされて正常な判断ができなくなってしまう周りの「空気」。
告発は現行犯ではなく、数年経ってから。
とてもリアルに迫ってくる話。
多くの人にお薦めしたい一冊です。
読んでいただけたら↓
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