10年ひと昔、という言葉がある。
改めて辞書で調べてみると、「世の中は移り変わりが激しく、10年もたつともう昔のこととなってしまう。また、歳月の流れを、10年をひと区切りとして考えること」とある。
大学卒業後、2つの仕事を経て今の会社に就職したのがちょうど20年前。
もう「ふた昔」も前の遠いことになってしまった。
そして、結婚し、今の家に住みはじめてからちょうど10年、「ひと昔前」になる。
今回、大掃除をしていると、物置の中に、この家に引っ越しして以来一度も開けることがなかった段ボールがいくつもあった。
当時は「また使うことがあるかも」と思ったか、「もったいない」と思って捨てることができずに、とりあえず新居に持ってきて物置の奥にしまったままだったものばかり。
こんなの持ってたっけ?と思うような真っ赤なバッグや、おそらく古着で安く買ったと思われる毛皮のコート、CDコンポまであった。
10年間、必要とされることがなく思い出すこともなかったもの。
今更必要なわけがない。
「10年ひと昔」、もう10年前の過去のものという現実が、断捨離を容易にしてくれたお陰で、かなり大胆に処分できた。
処分できなかったのは思い出の品々。
物置の中から、1冊のファイルが出てきた。
開くと懐かしい匂いがした。
自分が当時大切にしようと思っていたものを閉じ込んだファイル。
大学浪人中に初めて受けたTOEICのトータル580点のスコアも出てきた。
今でいうところのセンター試験の受験票もあった。
大江千里のような大きな眼鏡をかけた白黒の顔写真が貼ってある。
30年後の私が、思わず「しっかりしなよ!」と背中をたたきたくなるような、自信なさげで力のない、情けない顔をしている。
そんな思い出のつまった1冊のファイルの中に、懐かしい「切り抜き」があった。
人生初めての挫折を味わい大学浪人していた時に、心の支えにして何度も読んでいたものだ。
代々木ゼミナール講師のコラムで、「焦りに別れを!」というタイトルで、受験を数か月後に控えた11月、受験生が最も焦りを感じる季節に、受験生を励ましている内容。
「コマはゆっくり回るとグラグラゆれる。しかし勢いよく回ると静止した状態で安定する。これと同じことで、がむしゃらに勉強して雑念のはいり込む隙をなくしてしまえばいい」、「悩む余裕すらない、とにかくやらねばならないことが山積みにされ、それを必死に片づけているというフル回転の状態にすれば、自然と焦りは消えるはず」。
そして、コラムの最後は、こう締めくくられていた。
「今からが一番苦しい時であろう。でも挫けそうになったらあの不合格発表の屈辱を思い出しがんばってほしい。人生で最高の一瞬、「合格」の喜びを味わうために」。
このコラムに勇気づけられ、誘惑に弱いからこそ誘惑のもとを断ち切り、その後、受験までの間、精神的重圧から逃れるためだけに、寝ること以外はすべて勉強という毎日を送っていたことを思い出す。
そして、さらにファイルのページをめくると、私の母校、大学の合格通知が出てきた。
その日々があって、今につながっている。
今週末は、センター試験。
自分がセンター試験を受けたあの日から、ひと昔も、ふた昔も過ぎ、すっかり受験生の親世代になってしまったけれど、そんな今でもこの季節になると必ず当時を思い出し、なんとも言えない複雑な気持ちになる。
受験生のみなさんには心からエールを!
頑張れ、受験生!!
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