『パリ・ジュテーム』

現在公開中の映画『パリ・ジュテーム』をJRタワーのシネマフロンティアに見に行った。

『パリの各地区を舞台にした人間ドラマの数々を、1話約5分間全18話の構成で見せる珠玉の短編集。多くの映画で描かれる芸術の都パリではなく、等身大のパリの姿が堪能できる』(『Yahoo!映画』より)。

パリ20区のうち18の区を舞台に繰り広げられる、人と人とのつながりを繊細に描いた作品集。

今年1月にパリ旅行をしたばかり(写真はその時のもの)だったので、この映画の中で、私が見たパリにまた会えるのが嬉しかったのと、18話のうち、その多くが、外国人の視点で描かれているのが面白かった。

「外国人旅行者が、パリの地下鉄でトラブルに巻き込まれる話」や、

「生活のため、自分の生まれたばかりの子供を近くの施設に預けて、遠く離れたお金持ちの家で働く外国人ベビー・シッターの話」、

「アラブ系の美しい女性に恋する若者の物語」などなど。

パリに憧れる人は多いけれど、人種差別、宗教の違い、言葉の壁、生活格差、さまざまな問題を抱えている普通の街だよ・・・って言われているような映画だった。

美しく、ファッショナブルに描かれているのではなく、まさに「ありのまま」の気取らないパリ。

18話もあれば、中には好きじゃないものや、まったく理解できないものもいくつかあった。

「イライジャ・ウッド扮するバックパッカーが吸血鬼になる話」や、「中国人女性が営む美容室の話」なんかは、まったく意味不明、理解不能だった。

さっき、見てきたばっかりなのに、すでに思い出せない話もある。

あまりに普通過ぎて感想を抱くにいたらなかったり、あまりにもエキセントリックでコメントのしようがないものもあった。

でも、きっと、それがパリなんだと思う。

個性豊かで雑多な街。

一番心に残ったのは、最後の物語。

パリに魅了された中年のアメリカ人女性が、フランス語を勉強して、ガイドブック片手に、憧れのパリ一人旅。

一人で旅行するのは気ままで快適だけど、「きれいね」と言う相手が隣にいないのはなんとも寂しいと感じながらの旅。

そして、ある日、サンドイッチを買って公園のベンチに座り、景色を眺めながら、自分が今、パリにいるんだということを実感していると、何かを思い出したような、ずっと待っていたような『不思議な感情』が湧き上がってきた、というストーリー。

外国人が一人旅をするときに感じる、嬉しさと寂しさの混じった複雑な感情がよく表現されていて、心にジーンときた。

このストーリの中でずっと流れ続ける主人公の一人語り。

フランス語初級者が自分で書いた単文ばっかりの日記を、つたない発音で必死に読んで発表しているみたいで、なんだかおかしかった。

もちろん、パリのシンボル、エッフェル塔も要所、要所に出てきて輝きを放っていた。

フランスを代表する焼き菓子、色とりどりで個性豊かな『マカロン』の詰め合わせみたいな繊細な映画だった。

マニアックな要素もあり、明らかに万人受けはしないけど、パリが好きな人、特に住んだことがある人にはたまらない映画だと思う。

見て良かった。

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