『火花』を読んで

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芥川賞に選ばれて話題の、ピース又吉さんの『火花』を読んだ。

「純文学」というので、かなり気構えて読み始めたけれど、あっという間に本の世界に引き込まれて、さらさら読むことができた。

お笑いにも純文学にも親しみがないので、自分には理解できないかも、と思いつつ読んだけれど、思いがけず面白かった。

独特なものの見方、感じ方、表現、お笑いの世界の不思議、などなど。

ただ、読み物としては面白いけれど、残念ながら、何を伝えたいのかが分からなかった、というのが正直な感想。

最後の最後に出てくるエピソードが最悪、というより悪趣味なせいか、何が言いたいのか、伝えたいのかがわからず、読後感が少々悪い。

・・・で、読んでから、軽薄な気持ちで読み始めた人にはわからないような、わかる人にしかわからない奥の深い世界があるのが「純文学」って言いうのかな?」と思い、「純文学」ってなんだっけと改めて調べてみると、

「大衆小説に対して『娯楽性』よりも『芸術性』に重きを置いている小説を総称する、日本文学における用語」(ウィキペディアより)。

そうと確認してますます、そうかな~、あれが「純文学」なのか?、「芸術性」なのかな~、と。

どちらかというと、エッセイ、「娯楽性」のある「大衆小説」のような気がしなくもない。。。

そして、私が引っかかったのは、小説の中のこの部分↓。

「世間からすれば、僕達は二流芸人にすらなれなかったのかもしれない。だが、もしも「俺の方が面白い」とのたまう人がいるのなら、一度で良いから舞台に上がってみてほしいと思った。 「やってみろ」なんて偉そうな気持など微塵もない。世界の風景が一変することを体感してほしいのだ。自分が考えたことで誰も笑わない恐怖を、自分で考えたことで誰かが笑う喜びを経験してほしいのだ」。

作者の本音、なのだと思うけれど、これを言っちゃーおしまい、という話。

このエピソードを書いた意図はなんだったのだろう。

思わず、生前の父の言葉を思い出した。

水泳の、元オリンピック選手の千葉すずさんが、メダルを期待されながら取れなかった、当時のレース終了直後の生放送のインタビューで、「メダル、メダル言うんだったら自分で泳いで獲ってくださいよ」と感情を爆発させた。

その時、父が、「オリンピック選手として、記者に対して『おまえがやってみろ』なんて、これだけは絶対言っちゃいけない」と、彼女の発言に驚き、落胆していた。

案の定、世間からすさまじいバッシングを浴びて、その後、千葉選手を見る機会は激減。

そのことをなぜか鮮明に覚えていて、本を読みながら思い出した。

アマゾンのレビューを見たところ、評価の低いレビューも結構多い。

もしかしたら、作者自身、そんなレビューを見て、先ほどの小説の中の主人公のように、「それなら自分で書いてみろ」という気持ちになっているかもしれないけれど、素人と玄人ではそもそも求められる水準が違う。

だから、又吉さんには、絶対にそんな姿を見せずに、「火花」に評価の低いレビューを書いた人たちを唸らせるような作品を書いて実力を見せつけて欲しいと思う。

期待されるのは次回作。

どんな作品になるのか、今から楽しみ。

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