ポールの妹

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ポールには妹・ペニーがいる。

40代後半で、ず～っと同じボーイフレンドと付き合っているけど未婚。

イギリスに住んでいる。

聞く限り、非常に気性が荒く、暴力沙汰やアルコール問題など若い頃からいろいろな問題を抱えた、手のかかる妹だったらしい。

私もイギリスで何度か会ったけれど、いつもお酒に酔っていて、まともに話をした記憶がない。

身長は私と同じ１７０cmくらいだけれど、横幅は半分。

体重は多分40ｋｇあるかないかくらいで、心配なほどガリガリに痩せていて、キャップを被り、短パン姿のペニーは、大人の女性というより、少年のようだった。

普通に歩けないくらい体が弱くて、仕事もできない。

そんな妹のペニーが、乳がんを患っていることが分かった。

乳がんのステージは２で、すでにリンパに転移していて他にも２つ癌が見つかったのだという。

今は他に見つかった癌の種類を見極める検査をしているそうだけれど、近く、両方の胸を摘出することになるらしい。

ポールのママも30歳の時に乳がんが見つかって、摘出している。

「父方は心臓病、母方は癌の家系なんだ」、とポールは言う。

癌が見つかってから、ペニーは絶望して酒浸りになり、カウンセラーのお世話になっているとのこと。

自分の体調不良で弱気になっていたところに、今度は妹の癌。

そのことがわかった日、私が忘年会を終えて遅くに帰宅すると、思いっきり酔ったポールが目を真っ赤にして男泣きしていた。

良くないことって続くもの。

「ペニーに会いにイギリスに帰りたくなったら、いつでも言ってね。そのための準備はしておくから」。

そう声をかけてあげることしかできなかった。

その後、ポールは友人たちとFacebookで連絡を取り合ったり、乳がんについて調べたりしているうちに、「今の医療は進んでる。早期に治療すれば乳がんは治る」と分かって、「辛いことだけど、これまでさんざん馬鹿をやってきたペニーにとっては、これ以上人生を無駄にするなという『警告』になるはず。これを機に生活を改善してくれれば」、と少しずつ前向きに。

少しだけ安堵しているものの、なんとも切ない2017年の終わり。

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